ウイルス/不正プログラム 親トピック

コンピュータウイルス/不正プログラムとは、ファイルを感染させることによって複製する能力を持ったコードのセグメントです。ファイルがウイルス/不正プログラムに感染すると、ファイルが実行されるときにウイルス/不正プログラムも実行され、ウイルス/不正プログラムのコピーがファイルに添付されます。このことによって、感染したファイルがさらに他のファイルを感染させるようになります。生物学上のウイルスと同様に、コンピュータウイルス/不正プログラムは急速に広がり、多くの場合、撲滅するのが困難です。
一部のコンピュータウイルス/不正プログラムは、増殖することに加えて、別の共通点も持っています。それは、ペイロード (発病機能を担う部分) を運ぶダメージルーチンです。ウイルスのペイロードは、メッセージや画像を表示するだけの場合もありますが、ファイルを破壊したり、ハードディスクを再フォーマットしたり、その他の被害を引き起こしたりする可能性もあります。ウイルスにダメージルーチンが含まれていない場合でも、ストレージ領域やメモリを消費し、コンピュータの全体的なパフォーマンスを低下させて、問題を引き起こすことがあります。
一般にウイルス/不正プログラムは次の3つに大別されます。

ウイルス/不正プログラムの種類

種類
説明
ファイル感染型
ファイル感染型ウイルス/不正プログラムには、DOSウイルス/不正プログラム、Windowsウイルス/不正プログラム、マクロウイルス/不正プログラム、およびスクリプトウイルス/不正プログラムなどさまざまな種類があります。これらすべてにはウイルス/不正プログラムとしての共通の特徴がありますが、感染するホストファイルまたはプログラムの種類が異なります。
システム領域感染型
システム領域感染型ウイルス/不正プログラムはハードディスクのパーティションテーブルやハードディスクおよびフロッピーディスクのブートセクタに感染します。
スクリプト
スクリプトウイルス/不正プログラムはスクリプトプログラミング言語で記述されたウイルス/不正プログラムです。Visual Basicスクリプト、JavaScriptなどで記述され、通常はHTMLドキュメントに埋め込まれています。
VBScript (Visual Basic Script) および Jscript (JavaScript) ウイルス/不正プログラムはMicrosoftのWindows Scripting Hostを利用して動作し、他のファイルに感染します。Windows Scripting HostはWindows 98およびWindows 2000などのWindows OSに含まれるので、単にWindowsのエクスプローラから*.vbs*.jsファイルをダブルクリックするだけでウイルス/不正プログラム活動が実行されます。
ではスクリプトウイルス/不正プログラムのどこが特別なのでしょうか。スクリプトウイルス/不正プログラムは、アセンブリタイプのプログラミング知識を必要とするバイナリウイルス/不正プログラムとは異なり、テキストでプログラミングされます。スクリプトウイルスは、下位レベルのプログラミングを必要とせず、可能な限りコンパクトなコードで機能を実現します。またWindowsに事前に定義されているオブジェクトを使用して、感染したシステムの多くの部分に容易にアクセスすることもでき、たとえばファイルを感染させたり、マスメーリングを実行したりします。さらに、コードがテキストで記述されるので、他者がそのコードの枠組みを簡単に解読し模倣できます。そのため、多くのスクリプトウイルス/不正プログラムには改変された亜種がいくつか存在します。
たとえば「I love you」ウイルスの出現直後、ウイルス対策ベンダーは、件名やメールの本文が改変されて広まった、オリジナルのコードのコピーを発見しました。
どのような種類のウイルスであっても、その基本的な仕組みは同じです。ウイルスには自己の複製を明示的に作成するコードが含まれます。ファイル感染型ウイルス/不正プログラムの場合は通常、感染したプログラムをユーザが誤って実行したときに、制御を取得するための改変が加えられています。ウイルスコードの実行が終了すると、多くの場合、感染しているファイルには何も問題がないように見せるためにオリジナルのホストプログラムに制御が戻されます。
また、異なるプラットフォーム間で活動するウイルス/不正プログラムもあります。この種のウイルス/不正プログラムは、たとえばWindowsとLinuxなどのように、異なるプラットフォームに属するファイルにも感染します。ただし、このようなウイルス/不正プログラムは非常にまれで、その機能が100%実現されることはほとんどありません。